監査要綱の概要



保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について
(平成7年12月22日、保発第117号)


厚生労働省が公開している監査要綱の要約です。
法令番号は省略しています。


目的


この要綱は、厚生労働大臣若しくは地方厚生(支)局長又は都道府県知事が、健康保険法78条(同法及び船員保険法において準用する場合を含む。)、国民健康保険法45条の2及び高齢者の医療の確保に関する法律72条(同法において準用する場合を含む。)の規定に基づき、保険医療機関又は保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)に対し、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費若しくは家族療養費の支給に係る診療(調剤を含む。以下同じ。)の内容又は診療報酬(調剤報酬を含む。以下同じ。)の請求について行う監査に関する基本的事項を定めることにより、保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的とする。



監査方針


監査は、保険医療機関等の診療内容又は診療報酬の請求について、不正又は著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握し、公正かつ適切な措置を採ることを主眼とする。



監査対象となる保険医療機関等の選定基準


監査は、次のいずれかに該当する場合に、地方厚生(支)局及び都道府県又は厚生労働省並びに地方厚生(支)局及び都道府県が共同で行う。

1 診療内容に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。
2 診療報酬の請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。
3 度重なる個別指導によっても診療内容又は診療報酬の請求に改善が見られないとき。
4 正当な理由がなく個別指導を拒否したとき。



監査担当者


監査は、原則として地方厚生(支)局にあっては、地方厚生(支)局長が指名する、技官及び事務官並びに非常勤の医師、歯科医師、薬剤師及び看護師が、都道府県では都道府県が適当と認める者が担当する。
必要と認められる場合は、厚生労働省保険局医療課の医療指導監査担当官も共同して担当する。



監査の方法等


事前調査

監査担当者は、原則として監査を実施する前に診療報酬明細書(調剤報酬明細書を含む。)による書面調査を行い、必要と認められる場合には、患者等に対する実地調査を行う。


監査実施通知

監査対象となる保険医療機関等を決定したときは、地方厚生(支)局はあらかじめ次に掲げる事項を文書により、当該保険医療機関等に通知する。なお、当該通知には、当該監査を地方厚生(支)局及び都道府県又は厚生労働省並びに地方厚生(支)局及び都道府県が共同で行うことを明記するものとする。
(1)監査の根拠規定
(2)監査の日時(土曜日及び休日を除く。)及び場所
(3)出席者
(4)準備すべき書類等



出席者

監査に当たっては、監査対象となる保険医療機関等の開設者(又はこれに代わる者)及び管理者の出席を求め、必要に応じて保険医若しくは保険薬剤師(以下「保険医等」という。)、診療報酬請求事務担当者、看護担当者その他の従業者(これらの職にあった者を含む。)又は関係者の出席を求める。



学識経験者の立会いの依頼等

(1) 健康保険法78条第2項が準用する同法73条2項(同法及び船員保険法において準用する場合を含む。)、国民健康保険法45条の2第4項において準用する同法41条2項及び高齢者の医療の確保に関する法律72条2項が準用する同法66条2項(同法において準用する場合を含む。)の規定に基づく立会いの必要があると認めたときは、厚生労働大臣にあっては日本医師会、日本歯科医師会又は日本薬剤師会(以下「日本医師会等」という。)に対して、地方厚生(支)局長にあっては都道府県医師会、同歯科医師会又は同薬剤師会(以下「都道府県医師会等」という。)に対して、文書等により立会いの依頼を行う。
また、日本医師会等又は都道府県医師会等が監査に立ち会わない場合にあって、必要があると認めたときは、地方厚生(支)局長は都道府県の社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会(以下「支払基金等」という。)に対して文書等により審査委員の立会いの依頼を行うことができる。

(2) 厚生労働大臣又は地方厚生(支)局長及び都道府県知事は、監査時において立会者に意見を述べる機会を与えなければならない。



監査調書の作成

監査担当者は、監査後、監査調書を作成する。


監査後の措置


行政上の措置


行政上の措置は、健康保険法第80条の規定に基づく保険医療機関等の指定の取消、同法第81条の規定に基づく保険医等の登録の取消(以下「取消処分」という。)並びに保険医療機関等及び保険医等に対する戒告及び注意とし、不正又は不当の事案の内容により、次の基準によって行う。



取消処分

地方厚生(支)局長は、保険医療機関等又は保険医等が次のいずれか1つに該当するときには、当該地方厚生(支)局に置かれる地方社会保険医療協議会に諮問して、取消処分を行う。
なお、地方厚生(支)局長は、地方社会保険医療協議会へ諮問する前に、関係資料を添えて厚生労働省保険局長に内議を行う。

①故意に不正又は不当な診療を行ったもの。
②故意に不正又は不当な診療報酬の請求を行ったもの。
③重大な過失により、不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。
④重大な過失により、不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。



戒告

地方厚生(支)局長は、保険医療機関等又は保険医等が次のいずれか1つに該当するときは、戒告を行う。

①重大な過失により、不正又は不当な診療を行ったもの。
②重大な過失により、不正又は不当な診療報酬の請求を行ったもの。
③軽微な過失により、不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。
④軽微な過失により、不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。



注意

地方厚生(支)局長は、保険医療機関等又は保険医等が次のいずれか1つに該当するときは、注意を行う。

①軽微な過失により、不正又は不当な診療を行ったもの。
②軽微な過失により、不正又は不当な診療報酬の請求を行ったもの。



聴聞


地方厚生(支)局長は、監査の結果、当該保険医療機関等又は保険医等が取消処分に該当すると認められる場合には、監査後、取消処分予定者に対して、行政手続法に基づき聴聞を行わなければならない。
なお、その際必要に応じ都道府県国民健康保険課、後期高齢者医療主管課等の職員も関係行政庁の職員として聴聞に参加することができる。



行政上の措置の通知


地方厚生(支)局長は、行政上の措置を行ったときは、当該保険医療機関等又は保険医等に対し措置の種類、根拠規定、その原因となる事実等について文書により通知を行う。



経済上の措置


(1)地方厚生(支)局及び都道府県は、監査の結果、診療内容又は診療報酬の請求に関し不正又は不当の事実が認められ、これに係る返還金が生じた場合には、該当する保険者に対し、医療機関等の名称、返還金額等必要な事項を通知し、当該保険者から支払基金等に連絡させ、当該医療機関等に支払うべき診療報酬からこれを控除させるよう措置する。
この取扱いにより難いときは、支払基金等から当該保険者に連絡させ、返還金相当額を当該医療機関等から直接、当該保険者に返還させるよう措置する。
(2)地方厚生(支)局及び都道府県は、返還の対象となった診療報酬に係る被保険者等が支払った一部負担金等に過払いが生じている場合には、監査対象となった医療機関等に対して、当該一部負担金等を当該被保険者等に返還するよう指導する。
また、該当する保険者に対しては、当該被保険者等あてにその旨通知するよう指導する。
(3)監査の結果、診療内容又は診療報酬の請求に関し不正又は不当の事実が認められた場合における当該事項に係る返還期間は、原則として5年間とする。



行政上の措置の公表等


(1)地方厚生(支)局長は、監査の結果、取消処分を行ったときは、「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令」2条(同令2条の2において準用する場合を含む。)又は9条に基づき、速やかにその旨を公示する。
(2)地方厚生(支)局及び都道府県は、監査の結果、戒告又は注意の行政上の措置を行ったときは、保険者団体、都道府県医師会等及び支払基金等に対し、その旨を連絡する。
(3)地方厚生(支)局長及び都道府県知事は、戒告又は注意を受けた保険医療機関等に対しては、一定期間内に個別指導を実施する。


再指定


保険医療機関等が取消処分を受け、5年を経過しない場合等においては、健康保険法65条3項に基づき、その指定を拒むことができる。
ただし、取消処分を受けた医療機関の機能、事案の内容等を総合的に勘案し、地域医療の確保を図るため特に必要があると認められる場合であって、診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、相当の期間保険診療を行わない場合については、取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる。


その他


1 監査を行うに当たっては、日本医師会等、都道府県医師会等、支払基金等及び各保険者に協力を求め円滑な実施に努める。
2 厚生労働省並びに地方厚生(支)局及び都道府県が共同して行う監査に当たり、必要があると認められる場合は、厚生労働省の顧問医師団を構成する医療技術参与を派遣する。
3 地方厚生(支)局は監査及び行政措置の実施状況について、別に定めるところにより厚生労働省保険局医療課に報告する。



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